「会社に迷惑をかけているのではないか」「復職できるか不安で、誰に相談すればいいかわからない」——休職中の方なら、一度はこんな気持ちを抱えたことがあるのではないでしょうか。2026年4月1日、改正労働施策総合推進法が施行され、企業による「治療と就業の両立支援」がいよいよ努力義務となります。この記事では、制度の全体像から具体的な活用ステップまでをわかりやすく解説します。
「治療と就業の両立支援」とは?新制度の全体像
📖 そもそも「治療と就業の両立支援」とは
病気を抱えながら働く方が、適切な治療を受けながら仕事を継続できるよう、職場・医療機関・支援機関が連携して支える取り組みのことです。厚生労働省のガイドライン(2024年3月改訂)では、がん・脳卒中・心疾患・糖尿病・難病・メンタルヘルス不調などが対象として示されています。
なぜ今、この制度が必要なのか
日本では治療が必要な労働者の約3人に1人が仕事との両立に困難を感じています。特にメンタルヘルス不調による休職者は年々増加しており、復職後の再休職率も課題に。医療・企業・行政が一体となった支援の法的整備が求められていました。
2026年4月から何が変わるのか?
改正労働施策総合推進法のポイント
2026年4月1日施行の改正法により、事業主には以下の対応が努力義務として課されます。
両立支援に関する方針の策定・周知 — 社内規程や制度の整備、従業員への情報提供
相談窓口の設置 — 治療中の従業員が気軽に相談できる体制づくり
主治医・産業医との連携 — 医療機関との情報共有や意見聴取の仕組み整備
個別の支援計画の作成 — 従業員ごとの状況に応じた柔軟な対応
「努力義務」とは? 違反しても直ちに罰則はありませんが、行政指導の対象となりえます。また、適切な対応をしなかった場合、安全配慮義務違反として民事上の責任を問われるリスクもあります。
企業が整備すべき具体的な制度
| 制度・取り組み | 内容の例 |
| 時間単位の有給休暇 | 通院のための柔軟な休暇取得 |
| 傷病休暇・病気休暇制度 | 年次有給休暇とは別枠の休暇設定 |
| 短時間勤務・在宅勤務 | 体調に合わせた勤務形態の選択 |
| 復職支援プログラム | 段階的な業務復帰の仕組み |
| 相談窓口・産業医連携 | 早期相談・早期支援の体制 |
医療機関での支援が手厚くなる:診療報酬改定
🏥 療養就労両立支援指導料の対象拡大
令和8年の診療報酬改定により、主治医が患者の就労継続や職場復帰を支援する際に算定できる「療養就労両立支援指導料」の対象が、メンタルヘルス不調を含む全疾患に拡大されました。うつ病・適応障害・双極性障害なども正式に対象です。
💰 新設「相談支援加算(400点)」とは
医療ソーシャルワーカーや看護師が就労に関する相談支援を行った場合に算定できる加算(400点=約4,000円相当)です。これにより受けやすくなる支援:
- 職場への「主治医意見書」「就業上の配慮に関する情報提供書」の作成
- 企業の人事・産業保健スタッフとの情報共有・連携
- 復職に向けた生活リズムや体調管理に関する相談
- 利用できる社会資源(障害者手帳、自立支援医療など)の案内
制度を活用するための5つのステップ
主治医に「就労支援」について相談する
通院中の主治医に「仕事への復帰を考えている」「職場との連携について相談したい」と伝えましょう。令和8年の診療報酬改定により、医療機関側も就労支援に取り組みやすい環境が整っています。
職場の相談窓口・産業医に連絡する
会社の人事部門や産業医に現在の状況と復職への希望を伝えましょう。直接連絡が難しい場合は、産業保健総合支援センター(さんぽセンター)が各都道府県に設置されており、無料で相談に応じています。
「両立支援プラン」の作成を依頼する
厚生労働省のガイドラインでは、企業が従業員ごとに「治療と仕事の両立支援プラン」を作成することを推奨しています。勤務時間の調整・在宅勤務の可否・通院スケジュールへの配慮などが盛り込まれます。
リワークプログラムを活用する
生活リズムの立て直し・集中力の回復・対人スキルの再構築などを目的とした復職トレーニングプログラムです。医療機関・障害者職業センター・民間のリワーク施設などで提供されています。
制度・給付を確認し、経済的な不安を減らす
| 傷病手当金 | 給与の約2/3が最長1年6ヶ月支給 |
| 自立支援医療 | 通院医療費が原則1割負担に |
| 障害年金 | 症状が重い場合に申請可能 |
| 就労移行支援 | 転職・再就職を考える場合の支援 |
よくある疑問Q&A
Q. 「努力義務」って、守らなくても問題ないのでは?
直ちに法的制裁はありませんが、行政指導の対象となりえます。また、従業員からの相談に適切に対応しなかった場合、安全配慮義務違反として民事上の責任を問われるリスクもあります。
Q. 小さな会社(中小企業)でも制度は使えますか?
はい、改正法はすべての企業規模に適用されます。中小企業向けには産業保健総合支援センター(さんぽセンター)が無料で支援を行っています。
Q. メンタルヘルス不調でも「療養就労両立支援指導料」の対象になりますか?
なります。令和8年の改定により、うつ病・適応障害・双極性障害・統合失調症などを含む全疾患が対象となりました。主治医に「就労支援について相談したい」と伝えてみてください。
Q. 復職後に再び調子が悪くなったらどうすればいい?
復職後の再発は珍しくありません。早めにサインに気づき、会社の相談窓口・産業医・主治医のいずれかに連絡しましょう。リワークプログラムの事前活用で再発リスクを下げることもできます。
まとめ
2026年4月の改正法施行と診療報酬改定により、「治療と就業の両立支援」をめぐる環境は大きく変わります。企業の努力義務化、療養就労両立支援指導料の全疾患への対象拡大、相談支援加算の新設——これらの制度は、あなたが「一人で頑張らなくていい」ための仕組みです。制度を知り、上手に活用することが、安心して働き続けるための第一歩になります。
参考:厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(2024年3月改訂)/改正労働施策総合推進法(2026年4月1日施行)/令和8年度診療報酬改定
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